私は小売業を経験したことがありません。なので、小売業の方が仕入れの時の「掛け率」に非常にこだわる理由が正直わかりませんでした。100円の商品を6掛けで仕入れれば仕入れは60円、粗利40円みたいなことで考えると、なんかものすごく儲かりそうな感じがします。この例で見ると売ったお金の4割も小売業の方が取るとなると、製造や卸しをやっている弊社としてはとても羨ましく思います。

でも、これは単に数字上の利益であって、この商品が10000個売れると40万円、でもここから家賃や水道光熱費、さまざまな経費を差し引くと残りはかなり少なくなってしまいます。これが10万個売れて100万円になればかなり余裕を持てますが、仮に5000個だと20万円、1000個だと4万円にしかなりません。売上が多くても少なくても固定費は必ずかかりますし、売上が多くなればなるほど、品出しが大変になったり、仕入れがたくさんになり忙しさが倍増します。季節や曜日によっても大きく売上が変動しますから、一年を通じてコンスタントに利益を上げようと思うとかなり大変な思いをすると思います。

先日ある企画で「協力して欲しい」と言われてたくさんの商品を出したのですが、かなり厳しくそんなには売れない企画がありました。弊社も品揃えのためにかなり大変な思いをしましたが、小売りの方は商品を陳列して、広告宣伝をし、お客様がいらっしゃらなくても接客のための待機をし、売れなかった商品を改めて荷造りして弊社に送り返すという、とても大変なことをされました。

今の時代は「必ず売れる」という商品がなかなかないので、「これなら売れるだろう」という目利きがとても大切になると思いますが、それでもすべてが当たるわけではありません。そういう意味では小売りの方々もとても大変なご苦労をされているな、改めて感じました。