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競争見積の功罪

今年も地元で行われた「飛騨金山夏まつり」の実行委員長をやらせて頂きました。天気にも恵まれて、たくさんの方にも来て頂き、喜んで頂けました。自分自身としてはまだまだやり足らなかったことに対しての反省や、もっとできたと言う思いもあり、課題ばかりを感じています。
それはさておき、今回の花火まつりでは、警備に当たって頂く警備会社も、花火の打ち上げ業者も、花火の途中で話しをして頂くお二人のDJも昨年の同じ方にお願いしました。もちろん競争見積ではなく、一社(お一人)に対して直接発注をしました。
金額を一円でも安くする為には、競争原理を働かせて、数社から見積もりを取って金額を比較して発注することも必要なのかもしれません。それをしないで特定の人や業者に発注するのは、「手抜き」ではなく人間関係を積み上げることで、よりよいモノにしたい、という想いからです。
警備に関して言えば、去年もやってもらっているので、トラブルになりやすいことの回避や、さまざまな勘所がわかっています。花火に関しては、昨年とは違った演出を考えてもらったり、金山町の地形なども考えた打ち上げをやってもらえます。DJのお二人に関しても、続けてきてもらっていることで、金山町に対する情報もだんだんと増えてきています。
「マンネリ」や「なれ合い」ということも出てきますが、それ以上にお互いの信頼関係や人間関係の大切さを感じています。

今、ビジネスではさまざまな場面で競争見積で発注先が決められます。自分が見積もりを出す立場からすると、毎年少しずつでも安くしないと受注できないとなると、その仕事やお客様に対しての愛着も少なくなり、どうやったら安くできるのか?しか考えなくなります。本来であれば、「次はこうしましょう」とか「もっとこうすると良くなりますよ」という提案が出せるのですが、競争見積だとそう言うこともしにくくなります。

今言われている「正規労働者」と「非正規労働者」の問題もこう言うところからの波及があると感じます。弊社では派遣などの非正規労働者は雇い入れていませんが、毎年受注できるかどうかわからない状況で、売上の目途すら立たなければ、正規社員を雇い入れてしっかり教育し、長期的な経営を目指す企業が少なくなるのは当たり前のことです。

金額だけで決まるビジネスももちろんあるでしょうし、それを超えてもっと売る側が工夫する必要があるのでしょうが、それにしても競争見積による「罪」の方が大きい気がします。もう少し人間関係や信頼関係と言った人間らしさにフォーカスした経済活動になることを願っています。